せっかく採集したクワガタムシが死んでしまったら、ぜひ標本にして残しましょう。
専門書などに頼るとやたらと専門的な道具など揃えるハードルが高く、難しく感じるかもしれませんが、まずはぜひ簡易なやり方で試してみてください。
ここでは、初めての人でもやりやすい専門的な道具は最低限にした、簡易版クワガタムシの標本作成方法をお伝えいたします。
標本作成を目的にしたマニアは、酢酸エチルという殺虫薬の入った毒びんで虫を殺して標本にしますが、ここでは自然死したクワガタムシを標本にする前提で説明していきます。
※参考までに、100均ショップで売っているようなマニュキュア除光液は、酢酸エチルの代用として使えます。
クワガタムシが死んだら、すぐに飼育容器から取り出します。
<放置しておくと・・・>
①水分が多い環境で飼育した場合は、腐敗してばらばらになったり、カビが生えたりします。
②乾燥した環境の場合は、干からびて固くなってしまいます。
②の場合はほとんど問題ありませんが、特に①の状態は、もう標本にするのが難しくなっています。
丁寧に飼育したり、産卵を目的のセットをしたりした場合は①の場合になりやすく、死後数日で腐敗してしまいます。
②の場合は、しばらくぬるま湯につけておくと柔らかくなります。
※大型のクワガタなら、ばらばらになったら補修も可能ですが、触覚や符節などの細かいパーツは修復が困難です。
<取り出す際の留意点>
死んで動かなくなったら、乾燥したふたのできる容器に数日間保管します。
クワガタムシは死んだように動かなくなっても、蘇生して動きはじめる事があるので、油断して机の上に放置しておいたらいなくなってしまった、という事があります。特にオオクワガタなどは、完全に死んだように見えても、数日後に元気に動きまわりはじめる事がよくあります。
クワガタが完全に死んだら、見栄えが良くなるように、展足をします。
死後すぐだと硬直していて展足は決まりませんので、乾燥した環境で二日ほど保管してから始めます。
展足は、純粋に見栄えを良くするだけの目的なので、特にルールはありません。
図鑑の写真などを参考に、、脚や大あごの開き方を整えましょう。
針は「展翅用玉針」などの名称で売られています。標本作成用具の老舗である志賀昆虫社のものが信頼あるブランドです。
展足板というものも売られていますが、必ず必要なものではありません。
↑写真のものは、ありあわせのポリフォーム板を使っています。100均ショップのコルクボードなどでも代用できます。
展足後、数週間乾燥させてから、展足針を外しますが、この時は特に慎重に・・・
私の経験では、針を刺す時より、外す時のほうが、標本を壊してしまうことが多いです。符節や触角などのデリケートなパーツは特に注意しましょう。
実は私は最近面倒くさくなって、上記のような玉針を使っての、気合を入れた展足をしていません。
とりあえず標本にする前の保管用のタトウ紙(四角紙)に簡易的に形を整えて保管し、そのまま針を刺して標本にしてしまいます。
必要なものは、適当な紙(A4コピーや半紙など)とカット綿、そして形を整えるピンセットです。
タトウ紙も、特に専用で売られているものはなく、半紙やコピー紙など、なんでもかまいません。
まず紙を図のようにたたみます。
それから、適当な大きさのカット綿の上で、ピンセットでクワガタムシの形を整えます。
(写真のカット綿は小さすぎますね・・・)
そして虫を挟み込んでできあがりです。
あとはたたんでタッパーなどに保管しておけます。
針を使った展足のように、形はきれいに決まりませんが、適当な形でもよければ、これで充分ではないかと思います。
出来上がった標本は、虫ピンに刺して標本箱に入れます。
虫ピン(昆虫針)は太さによって号数がありますが、普通サイズのクワガタ(ノコギリクワガタやオオクワガタ)は3号針くらいが適正です。前翅右側あたりに刺すのが普通です。
ネブトクワガタやオニクワガタなどの小型のクワガタは1号~2号を使い、ルリ系クワガタやツヤハダクワガタなどは台紙に貼ることが多いです。4号針以上の大きさはほとんど使いません。
有頭と無頭があります。
無頭は見栄えが良いのですが、扱いが難しいです。
蝶などではともかく、オオクワガタなどは特に鞘翅が固く、無頭針ではケガをする恐れもあります。
この変な形の道具は、平均台と言います。
穴に虫針を刺して、標本の高さを揃えます。
一番上の大きい穴に、針を頭から刺して、標本の背中までの高さを揃えます。
こういう形で、標本の背中からピンのアタマまでの高さを揃えます。
下の段はラベルの高さを揃えます。
標本には必ずデータラベルが必要です。
様式は特にありません。下記画像からヤフーの販売にリンクしますが、パソコンなどでご自分で作るほうがよいと思います。採集地、採集者、採集日 がそろっていればOKです。
もちろん趣味の範囲で学術的な意味合いを要求する訳ではないので、不要でもかまわないですが、数年たつと、どこでどのようにとったのか、必ずわからなくなります。
魚拓でも必ず釣った日と釣った場所、釣った人の記録をつけますが、昆虫標本も同様です。
データを記録しておく事は、楽しい思い出にもなります。
↓ヤフーで販売している標本ラベルの例 画像をクリック
標本箱はプラスティック製や紙箱もありますが、長期的には保管ができません。
必ずドイツ箱と言われているものが必要です。
普通に標本をやる人は大型のドイツ箱が標準です。私はマンション住まいだったので、場所の都合上大型の箱は収納ができず、中型を使って今日に至ります。
バードウィング社のドイツ箱は定評のある商品で、管理さえしっかりすれば標本が半永久的に保管できます。破損の修理も対応してくれます。私もガラスフタの修理でもお世話になりました。