奄美大島クワガタ採集紀行 (2004年)

はじめに

5年ぶりに妻の実家である奄美大島へ行ってきました。

東洋のガラパゴスと呼ばれるほど様々な貴重生物を産する奄美大島は、クワガタだけでなく、様々な珍しい鳥類、爬虫類等特産種の宝庫です。私もクワガタムシに興味を持ってから、この島に特産クワガタが多い事を知り、奄美での採集を始めて今回で4回目の里帰りです。

過去3回、実家の母や親戚に呆れられるほど、朝に晩に森に通いつめましたが、それでも漸く成果がでてきたのは前回(5年前)くらいからで、それまでは書物だけの知識を頼りに、樹の種類、生息ポイントもろくにわからず、試行錯誤を続けてきました。

 

今回過去のラベルを調べてたところ、初採集は1994年夏金作原(きんさくばる)です。この時は一週間金作原に通い最終日にようやくたった2頭のネブト♀をはじめて捕獲しました。「リュウキュウノコギリ、スジブトヒラタなどはバナナトラップで容易に採集でき、個体数も多い」などど書かれている書物の記述はなんなのか?しかも金作原は奄美大島随一の原生林。ここにおらんとは??

その後1997年に再訪問、この時も金作原にしばらく通ったのですが、やはりボーズの連続。最終日に思い切って別の峠にトラップを仕掛けようやくアマミヒラタ1♂スジブトヒラタ1♂を採集。翌々年1999年に訪問した時は最初からこの峠にトラップを仕掛け、ようやくリュウキュウノコギリ、リュウキュウコクワ、アマミヒラタ、スジブトヒラタなどを連夜のように採集できました。やはりポイントが重要で、いないところに仕掛けてもムダなのでしょう。

成果報告

今回同行したのは家族と私の実の両親、それにいとこ。両親は久しぶりの奄美という事で、父の傘寿の記念も兼ね観光旅行を堪能させてあげるという目的で、前半はホテルに宿をとり、両親といとこが帰ってからは妻の実家に宿泊の予定でした。もちろん観光旅行が優先ですから、その合間にいかに採集の時間をとるかがポイントになります。

奄美空港に着いたのは夜の7:00。本来ならすぐバナナを仕掛けに行きたいところだが、あまり我儘もいえません。もう遅いのでホテルに入って食事をすることにしました。

ストッキングは持参してますが、バナナの仕入ができなかった事が残念。しかたなく夕食に出たフルーツの盛り合わせから、バナナやパイナップルの切り身を袋にいれて部屋まで持ち帰り、明日朝まずはトラップ仕掛けに行く事にしました。

翌朝6時にホテルを出て、一路5年前採集した峠に向かいます。ホテルからは約40分。もうすでに日も高く上っており、今朝は仕掛けが主目的で採集成果は期待してません。ホテルの残飯トラップはいかにも貧弱。。。でも仕方なくフルーツをかき集めて作った5こほどのトラップを、林道沿いのシイの木に縛り付けていきます。何個目かを付けようとした時に、誰かが付け忘た古いストッキングを見付けました。「最後は回収するのがルールなのに。。。マナ~が悪いな。。」と思いつつ、トラップの裏側を見るとアマミヒラタ♂がついています。

「初回からラッキー!コレはもっといるかも。。。」古いトラップには♀が良く潜り込んでいる事があるのです。さっそくそのトラップを外しストッキングをビリビリに破いて干からびたストッキングを道路に広げて見ると。。いました。アマミヒラタ♀アマミネブト♀です。

リュウキュウノコギリクワガタ
70mmのリュウキュウノコ

初回からヒラタ♂♀ネブト♀GETで意気揚々とホテルに戻ると、「おじいちゃんがクワガタを捕まえたよ。。」え~っ、ウソ!     朝の散歩をしてたらホテルの前で拾ったとの事。こんな海沿いのいわゆるリゾートホテルという立地でなんでクワガタが?部屋の氷入れに入れてあるというので見せてもらうと。。。

「ひゃ~っ!でかい!」

大型のリュウキュウノコギリでした。ノギスで計ると70mmくらいありました。

これはすごい。もっといないか?とホテルの周りをうろうろさがしました。クワガタはいなかったけど、アオドウガネとタイワンカブト♀がいました。

二日目はかけろま島に遊びにいく為、バナナトラップの追加ができず、その晩と翌朝はまったく採集できませんでした。

これは早急に対策を立てなければいけません。まず考えられるのがトラップ。やはり皮付きバナナでないといけませんし、バナナも腐りかけて匂いを発するまでに数日かかりますから、時間がない!!

翌朝名瀬市内のグリーンストアで、黒ずんだバナナを処分販売しているのを見付ました!「ラッキー!」在庫全部を買い取りこれで追加トラップを仕掛ける事にしました。「こういう色になってるほうが美味しいのよね。。。」とレジのオバチャンが声をかけてくれます。「そうですよね・・・」とアイマイに返事しつつ大量の処分バナナを車に積み一路峠へ向かいます。

 

今回からは仕掛けの範囲も、峠の狭いエリアに集中してかけていたのを、比較的標高の低いところから広い範囲で仕掛けをする事にしました。

この対策が功を奏し、ようやく3日めから採れ始め、スジブトヒラタの小型のもの♂♀数頭と、リュウキュウコクワ♂も一頭とれました。でも狙っている希少種アマミシカは採れません。樹上も慎重にルッキングしましたがアマミミヤマもいない。そう簡単にはいきませんね。

でももう翌々日は帰京しなければなりません。もうあとは時間との戦い。時間さえあれば必ずとれるのに。。しかも台風16号が迫っています。

翌日帰京するという最終日。外は風雨です。台風の影響か??「あ~今日は無理かな。。」と思いましたが、とにかくラストチャンスなので、峠に向かう事にしました。

いざ峠につくと風もなく意外に静かで、雨も上がっており蒸し暑く、いそうな雰囲気。まずは標高の低いところにかけた新しいトラップをチェック。

いた~!やりました。今回最も大きなスジブトです。

その後いつもの峠でも大型のスジブト♂を追加し、全てのトラップを回収し、今回の採集を終えました。

翌日は予想通り飛行機は全便欠航で、島内の暴風雨はすさまじく恐ろしい程で、採集は不可能でした。お陰で帰京が一日遅れてしましました。

 

この経験が生き、その後は私も「バナナトラップは事前に作って持っていく」事を固く心に決めているのです。


ソラハピ

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